品質品質の劣化と賞味期限
フルーツを糖漬・乾燥すると、食品を腐敗させるほとんどの微生物が増殖ができなくなります。ですからドライフルーツでは賞味期限の設定に際して微生物ではなく、外観や風香味の劣化を指標として賞味期限を設定しています。
食品は保管時間の経過と主に;
- 微生物の増殖による劣化(変敗・腐敗)
- 乾燥や吸湿などによる物理的な性質(食感など)の劣化
- 酸素により油脂やその他の成分が酸化されることによる劣化
- 酸化以外の化学反応(酵素反応や加水分解など)による劣化
生鮮食品のように品質の劣化が早い食品は腐敗などにより安全に食べられるかどうかの期限(消費期限)が設けられますが、ドライフルーツなどのように品質の劣化の遅い食品は、「おいしく食べられる品質の限界」=「賞味」期限が定められます。
食品の品質は時間の経過と共に下がっていくのが普通です。品質が安全性の限界あるいはおいしく食べられる品質の限界を下回るまでの期間に安全係数(一般的には0.7-0.8が用いられています)を掛けて消費期限・賞味期限が設定されます。
食品の水分と腐敗の関係
食品の中で人にとって有害な微生物が増殖することを腐敗といいます(逆に人にとって有益な微生物が増殖することを発酵と呼びます)。微生物が活動するためには、栄養と水が不可欠です。ただ、食品の中の水には2種類あって、食品とあまり強く結合しておらず食品の中で比較的自由に動くことができ微生物が利用できる水分(自由水)と、食品の成分と強く結合していて、自由に動いたり微生物が利用したりできない水分(結合水)に分かれています。ですから「食品中の水分」=「自由水」+「結合水」となります。
食品の中に含まれる自由水の割合を「水分活性値(Water Activity) : 記号Aw」という値で表し、食品の中の水分全てが自由水の場合1.0に、逆に全く自由水が無い場合0.0となります。一般的に知られている水分と相関関係はあまりなく、水分が高いにもかかわらず水分活性が低い食品や、逆に水分が低いのに水分活性が高い食品もあります。
「水分活性が高い=微生物が自由に利用できる自由水が多い」ことから、水分活性値が低いほど、微生物が増殖しにくくなります。下図に代表的な食品とその水分活性値、また水分活性値と増殖できる微生物についてまとめました。
食品の水分と腐敗の関係
一般に食品の水分活性を下げるためには、
- 乾燥して自由水の量を減らす
- 糖漬や塩漬などにより自由水を結合水に変える
方法があります。いずれも食品に科学が持ち込まれる遙か古代から、人類が食品を保存するために行ってきた方法です。糖漬けなどでは水分活性値0.6程度、糖漬け後に乾燥することで乾燥では0.55程度までさげることができ、食品を腐敗させるほとんどの微生物が増殖できなくなります
賞味期限に微生物の項目が不必要
そのためオレゴンチェリーグロワーズのドライフルーツでは微生物を指標とした賞味期限の設定はしておりません。未開封で定められた保管条件で保管された場合では水分活性が保たれており、微生物の増殖のリスクが極めて低いからです。
一方、原料受入時や製品製造時の品質検査などでは品質管理・製造管理の目的で微生物基準を設け、検査・確認をしています。また最終製品でも微生物検査(一般生菌、大腸菌群、カビ・酵母、黄色ブドウ球菌、サルモネラ)は毎ロット実施し、出荷時にCOA (Certificate of Analysis)としてお客様にご報告しております。
ドライフルーツの賞味期限設定根拠
微生物による腐敗を考慮する必要が無い弊社のドライブルーベリー製品では、時間と共に色や風香味が劣化していくためにある期間を経過すると、弊社が設計した「おいしさ」の基準を下回るため、現在は18ヶ月という賞味期限を設定しております。
実際に長期間保管したサンプルの分析や官能評価を行って求めた品質期限に安全係数を乗じて、18ヶ月という賞味期限を設定しております。
※定められた保管条件で、未開封の状態で製造後18ヶ月という賞味期限を設定しています。
※実際にはお客様での保管状況などにより、品質の劣化状況は異なります。