ブルーベリー成分にコロナを不活性化させる物質が

未だ世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。ワクチンの開発・投与がようやく始まる中、未だ治療薬などは限られています。

宮崎大学医学部・農学部らの研究チームはくにさと35号というブルーベリーの茎葉から抽出した成分に新型コロナウイルスを不活化する効果が認められたと2021年1月28日に記者発表を行いました。

ブルーベリーには野生種(ワイルド種)、栽培種(カルチベイト種)の2種類があり、栽培種は北部ハイブッシュ、南部ハイブッシュ、ラビットアイの3種類に区分されます。くにさと35号というブルーベリーはラビットアイ種ですが、果実では無く葉を収穫して利用するために株式会社なな葉コーポレーションにより品種改良された品種で宮崎県でのみ栽培されています。

宮崎大学が発表したプレスリリース資料によると、ブルーベリー茎葉の熱湯抽出物の特定成分を豊富に含むFr7という粗精製分画を新型コロナウイルスと一緒にサルの細胞(VeroE6/TMPRSS2細胞)に加えたところ、新型コロナウイルスへの強い抗ウイルス効果が認められたとのことです。ポリフェノールが効果を発揮したとみられていますが、まだどの成分がどのような仕組みで不活化したのかなど詳しいメカニズムは判っていません。今後実用化に向けて研究が進むことが期待されています。

ワイルドブルーベリー(野生種)の葉にも多くのポリフェノールが含まれています

カナダおよびアメリカの北東部でしか自生していないワイルドブルーベリー。緯度が高く夏には日光に長時間晒され、冬には零下30℃を下回り、栄養の乏しい酸性土壌が多く、他の作物が生育できない厳しい環境で生き延びることができる数少ない植物がワイルドブルーベリーです。その過酷な環境で生き抜くためアントシアニンを作り出します。

ワイルドブルーベリーの葉や茎には果実よりも多くのポリフェノールが含まれていることが報告されています。日本では自生しないこのワイルドブルーベリーの葉にも新型コロナウイルスを不活化させる効果が存在する可能性が考えられます。