ワイルドブルーベリーを食べた子供で認知機能が改善

ワイルドブルーベリーは北米大陸北東部の緯度の高いエリアで生育していて、実がなり始める夏は昼が長く、紫外線から実を守るためにワイルドブルーベリーはフラボノイドの1種であるアントシアニンをいっぱい作り、「日焼け」から実の中の種を守ろうとします。

そんなアントシアニンはもともと「目に良い」ことで知られてきましたが、最近の研究では、癌細胞の抑制や心臓病の予防などいろいろな効果が判ってきています。

学習や認知の機能を良くしてくれる?

今日2017年10月31日に出版された英国王立化学会のFood & Function誌で、ワイルドブルーベリーを摂取した7歳から10歳の子供で認知機能に大きな効果が観られたと報告されています。

これまでもフラボノイドの摂取により認知機能が高まることは分かっていましたが、最近年齢によってその効果が違うことが報告されています。特に子供では研究が進んでいませんでした。

今回はアントシアニンがたっぷり含まれているワイルドブルーベリーをフリーズドライして、パウダー状にして子供に与え、その効果を確かめてみました。

どんな方法で確かめたの?

画面に表示される5つの矢印の内、真ん中の矢印がどちらの方向を向いているか、周りの刺激(今回は公園で子供が遊んでいる音を環境ノイズとして聞かせる)に惑わされずに判断できるかを測定、矢印が1つの場合の簡単な設問から、5つの矢印が2行に表示される複雑なものまで複数のテストを実施して評価しました。

注意ネットワークテスト(ANT)による評価方法

21名の子供を二重盲検クロスオーバー比較試験(試験を行う人も、子供もどんな物質が含まれているか知らされずにテストを行い、また子供全員がフラボノイド有りと無しの両方の試験)を行うことで正確かつ公平に試験を行いました。

30gのフリーズドライワイルドブルーベリーパウダーもしくはプラセボ(有効成分を含まない物質の意味。今回は、ブルーベリーの成分が一切含まれない物質で糖分やビタミンはワイルドブルーベリーパウダーと同等になるよう調整されたもの)をオレンジジュースにそれぞれ溶かし、不透明の容器に入れて黒いストローで飲むことで摂取し(子供がどちらを飲んでいるか判らないようにするため)、それぞれが認知機能に与える影響を測定しました。

テストの24時間前からフラボノイドをほとんど含まない食事にし、テスト当日は試験センターにて低フラボノイドの昼食を食べ、テスト3時間前にフリーズドライワイルドブルーベリーパウダー入りジュースあるいはプラセボ入りジュースを摂取してその違いを評価しました。

ワイルドブルーベリーを食べた子供で認知機能が高まった

フリーズドライワイルドブルーベリーパウダー(下の図中WBB)を摂取した子供はプラセボ(下の図中Placebo)を摂取した場合に比べて有意に認知機能が高くなり、特に認知機能の負荷が高い試験でその影響が顕著でした。

上:高負荷テスト/下:通常テスト ー 縦軸は反応時間で数値が低いほど反応時間が速い

その他に環境ノイズの有無など様々な条件で行いましたが、いずれもフリーズドライワイルドブルーベリーパウダーを摂取した群で反応時間が短くなっていました。そのためテストの順番、あるいはテストになれることで反応時間が短くなるなどでは結果は左右されず、反応時間が短くなったのはフリーズドライワイルドブルーベリーパウダーを摂取したことが主な理由と考えられます。

ブルーベリーを食べると脳の血流が増加する

別の報告ではブルーベリー由来のアントシアニンにより、若い成人の中前頭回(前頭葉の一部分で意味の処理やカテゴリーの認識などに関わる)や中心前回(運動に関わる)、後頭葉皮質(視覚に関わる)など脳の部分への血流が増加*1したり、ココアの摂取により成人の前帯状皮質(行動調節や社会的認知に関わる)への血流が増加*2するなどが報告されています。

これらの領域は今回のテストに関わる機能と大いに関与していて、アントシアニンによりこれらの脳部分への血流が増加したことにより、認知機能が高まった可能性が考えられます。

ワイルドブルーベリーを食べただけでは試験や学校の成績は上がりませんが、ワイルドブルーベリーを食べてから勉強することでその効果を高める助けにはなるかもしれません。これから入試のシーズンが始まります。ワイルドブルーベリーのアントシアニンの効果は食べてから3時間ほどで出始めます。是非朝食にオレゴンチェリーグロワーズのドライワイルドブルーベリーをお試し下さい。

 

*1 : G.G.Dodd, University of Reading, 2012

*2 : D.J.Lamport, D.Pal, C.Moutsiana, D.T.Field, C.M.Williams, J.P.Spencer and L.T. Butler, Phychopharmacology, 2015, 232, 3227-3234