フロリダは豊作の予想ながら将来に不安も


2月末からブルーベリーの収穫が始まる

フロリダはアメリカで最も早くブルーベリー(栽培種・カルチベイト種)の収穫が始まります。今年は州全体で天候に恵まれ質・量ともに良いという予測になっています。アメリカ南東部を襲ったハリケーンイアンの被害を免れ、2月は例年よりも暖かい気温が続いたことから実のサイズも大きめの傾向となっています。

州北部では例年よりも乾燥した気候が続いており、このまま降水量が例年より少ない傾向が続くと実の生長に影響がでてくる懸念もあります。

フロリダ州のブルーベリー

フロリダは約1万トンと州単位のブルーベリー生産量としてはアメリカで8位とそれほど生産量は多くありませんが、最も早くブルーベリーが収穫でき、その次に収穫が始まるアメリかで3-5番手に多いブルーベリーを生産するジョージア州の収穫を占う意味でも重要な州都なっています。フロリダ州で収穫されるブルーベリーの大部分は生鮮向けとなっています。

2020年には5,300エーカーだった作付面積は2021年には5,700エーカーと7.5%伸びています。2021年には12,000トンを生産し、2020年の9,600トンと比べると25%の増産を記録しました。

新品種の導入

2007-2013年にフロリダ州でのブルーベリー生産が急速に拡大し、その時期に植えられた樹木の寿命が近づいてきています。2020年に登録されたSentinelや2019年に登録されたColossusに加え、昨年登録されたAlbusなど、味が良く、実が大きく、皮が固めで日持ちがするという消費者が求めるトレンドに合致する新品種の作付面積が拡がってきています。植えてから収穫まで2-3年かかりますので、これらの新品種は来年以降市場に出回ってくると予想されています。

ペルーやメキシコなどとの競合

ペルーやメキシコは10月から収穫が始まり12月頃終了します。ちょうどアメリカのブルーベリー収穫が9月に終わり、それを引き継ぐ形でこれらの国々からの輸入でアメリカは年間を通じてフレッシュブルーベリーが市場に並ぶことになります。2022年10月から2023年2月にかけてアメリカに輸入されたペルーからのブルーベリーは前年比31%増の15万トンに達しました。ペルーの輸出量の約半分がアメリカ向けと言うことになります。

アメリカではインフレが続いており、肥料は以前の50%アップ、人件費は昨年だけで16%アップとなっており、ブルーベリーだけでなく農作物の生産コストが大幅に上昇しています。一方でこれらの輸入ブルーベリーなどが市場価格の上昇を抑制しており、ブルーベリーのアメリカ南部での市場販売価格は昨年度ほぼ同じとなっています。そのため農家が得られる利益が減少しており、次の樹木植え替えのタイミングでブルーベリーの作付を減らす動きがでてくることが懸念されています。