アントシアニンの量だけでなくいろんな種類のアントシアニンを摂取することが重要です
アントシアニンにはいろんな種類があります
眼に良いということでよく知られているアントシアニンですが、アントシアニジンという基本骨格のB環(下画像の右側の六角形)に結合するOH基の数の違いでペラルゴジニン、シアニジン、デルフィニジンという3グループのアントシアニンができます。さらに一部のOH基がメトキシ化することでマルビジン、ペチュニジンなどのアントシアニンが生成されます。
代表的なアントシアニン
- シアニジン:ブドウ、ベリー類、サクランボなど多くのフルーツに含まれていて、酸性で赤色、中性で紫色、アルカリ性で青色となる。眼のピント機能調節効果を改善させる効果などが報告されています。
- デルフィニジン:スミレなど青色を呈する花の色素として知られる。カベルネ種のブドウの赤紫色もデルフィニジンによるもの。皮膚の悪性黒色腫を減少させる効果などが報告されています。
- ペラルゴジニン:橙色を呈するアントシアニン。イチゴ、クランベリーを始め多くのベリー類に含まれる。オレンジ色のバラはペラルゴジニンによるもの。
- マルビジン:デルフィニジンがメトキシ化されることにより生成されるアントシアニン。赤ワインに多く含まれ抗酸化効果が非常に高いことからフレンチパラドクスで注目された成分。細胞内に発生した活性酸素を除去する酵素(SOD)や酸化ストレスから細胞を守るヘムオキシゲナーゼ(HO-1)などの酵素を活性化することで細胞を守っていることが報告されています。
このようにアントシアニンにはいろんな種類があり、それぞれ様々な生理活性を発揮して、異なった効果を持っています。そのため単に「アントシアニン」を摂取するだけでなくて、「いろいろな種類」のアントシアニンをバランス良く摂取することが重要となります。
様々なベリーに含まれるアントシアニンの種類と量
多くのベリー類にはアントシアニンが含まれています。ベリーによって含まれるアントシアニンの量も種類も大きく異なります。ニュージーランド・クラウンリサーチ研究所による2008年の論文(J. Scalzo, et al., BioFactors 34 (2008)13-21)ではラズベリー(Red raspberry)、ボイゼンベリー(Bosenberry)、ブラックベリー(Blackberry)、ブルーベリー(栽培種/Blueberry)、カシス(Black currants)、ブラックラズベリー(Black raspberry)に含まれるアントシアニンの量と種類を調べています。
量だけで見るとカシスやブラックラズベリーが多いのですが、含まれているアントシアニンはシアニジンやデルフィニジンに限定されています。
一方ブルーベリーではシアニジン、デルフィニジンだけでなくペチュニジン、マルビジン、アセチル化アントシアニンなど数多くのアントシアニンがバランス良く含まれています。
Cy=シアニジン、Dp=デルフィニジン、Pt=ペチュニジン、Mv=マルビジン、Acy=アセチル化アントシアニン
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ブルーベリーには様々な種類のアントシアニンがバランス良く含まれています
ブルーベリーに含まれるアントシアニンの量はフルーツ界ナンバー1では無いかもしれません。でも含まれているアントシアニンの種類とバランスではピカイチ。アントシアニンはそれぞれ異なった生理活性を体内で発揮しますので、量だけでなく多くの種類を摂取することも非常に重要です。