オレゴン・ワシントン州ダークスイートチェリー生産量はさらに減少の見込み
リトルチェリーウイルス(LChV)の影響が見られるように
リトルチェリーウイルス(Little Cherry Virus/ LChV)はカリフォルニア州からカナダ・ブリティッシュコロンビア州までのチェリーが罹るウイルスで、感染すると小さく、色が浅く、甘みの少ないチェリーを付けます。
この病害に罹ったチェリーを見分けるのは簡単ではありません。感染した樹になるチェリーは小さく、色が浅く、甘みが少ないのですが、この特徴は単純にまだ未熟なチェリーとほとんど同じなため、まだ完熟していないのかウイルスに感染しているのかは外観から見分けることがとても難しいのです。
このウイルスは人への感染は無く、またこのウイルスに感染したチェリーを生のまま食べたとしても人の健康や食品の安全性に問題はありません(甘くないので商品価値は低くなってしまいますが)。
生産量は更なる下方修正に
2020年のワシントン州・オレゴン州でのスイートチェリー生産量は22万トンに落ち込むと予想されています。昨年の25万トンから3万トン、約10%の減産となると見込まれています。
2019年より罹患が拡大傾向に
ワシントン州立大学の調査によると2019年よりLChVへの感染が増えていることが確認されており、感染拡大を防ぐために2019年の収穫後にワシントン州だけで28,000本ものチェリーの樹が伐採されました。
前回の大感染は1940~1950年で、周期的に感染爆発が起こるとみられていますが、その原因は分かっていません。
伐採以外の効果的な対処法が無い
このウイルスの感染を抑えたり、治療したりする薬剤は方法は発見されておらず、ワシントン州立大学やオレゴン州立大学などが行っている分析により感染が確認された樹を伐採するしか対応策がありません。基本的には農園の同じブロックで2割以上の樹が感染していた場合はそのブロック全ての樹を伐採するように推奨されています。
来年以降の生産量に不安が残る
伐採した場合、除染を行い新たに植樹をした樹が販売できるレベルの果実をつけるまでに6-8年かかります。そのため、今年大量の樹を伐採した場合、来年以降の生産量に不安が残ります。
ダークスイートチェリー生産エリア郡(county)
ワシントン州は中央部のヤキマ郡、シェラン郡、フランクリン郡、グラント郡、ベントン郡などで栽培されています。上位3郡で57%、上位5郡で77%を占めています。
オレゴン州ではザ・ダールズ(The Dalles)市を中心としたワスコ郡、州都セーラム(Salem)市を中心としたマリオン郡、ポーク郡、ヤムヒル郡で主に栽培されています。
ワシントン・オレゴン州で2/3のチェリーを生産
2019年のチェリーの生産量を州ごとにまとめると、ワシントン・オレゴン州で全米の生産量の60%以上、合計で30万トンを生産しています。トップのワシントン州だけで25万トンの生産を誇ります。
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