ブルーベリーが子宮頸がんの放射線治療の効果を高める可能性
女性のがん死亡原因はほぼ全年齢で乳がんが第一位ですが、20~40代では子宮頸がんによる死亡が多くなっています。日本では年間約1万件ほど、アメリカでは年間1万3千件ほどの症例が報告されています。日本の女性の年間がん罹患数は多い順に乳房、大腸、胃、肺、そして子宮となっています(国立がん研究センター・がん情報サービス)。
子宮頸がんは初期には症状がほとんどなく、自覚症状が現れる頃には、病状が進行していることが少なくありません。定期的な検査を受けていれば早期発見も比較的可能で、初期の場合には外科的な切除が主に行われます。ある程度進行した子宮頸がんでは外科的な処置に加え放射線治療を併用する場合が多いようです。
[fruitful_btn]がんの放射線治療とは[/fruitful_btn]
がん細胞にX線やγ線などの放射線を照射することで、がん細胞を死滅させたり、がん細胞の数を減らしたりする治療法です。外科的な切除をせずに行えるため、臓器を残して治療することができたり、外科的な切除が難しい場所の治療が可能になるなど良い面もありますが、放射線の照射により周囲の健康な組織もダメージを受けたり、副作用がでたりするデメリットもあります。
ブルーベリーに子宮頸がんの放射線治療を高める作用が
アメリカミズーリ州立大学医学部の研究チームは子宮頸がん細胞を下の様な4つのグループ:
- 何も処置しないグループ
- 放射線照射するグループ
- 何も処置しないが、ブルーベリーエキスを与えたグループ
- 放射線照射+ブルーベリーエキスを与えたグループ
に分け、それぞれのグループで子宮頸ガン細胞がどのようになるかを観察しました。
ブルーベリーを摂取するだけでもガン細胞が減少
2017年に発表された論文によると、4つのグループで1の何もしないグループのガン細胞を基準とすると、2の放射線照射したグループでがん細胞は約20%減少しました。また3の放射線照射しないがブルーベリーを与えたグループでは約25%減少、4の放射線照射とブルーベリーを与えたグループでは何と約70%もがん細胞が減少しました。
これまで赤ワインに含まれているレスベラトロールにガンの放射線治療を高める増感作用があることが報告されていましたが、ブルーベリーにもレスベラトロールが微量に含まれており、またそれ以外にもアントシアニンを含め様々なフラボノイド類などのフィトケミカルが含まれています。これらブルーベリーのフィトケミカルにがん細胞の増殖抑制があることが知られていますが、放射線治療の効果を高める効果が初期の研究段階とはいえ確認されたことは大きな希望に繋がります。
今後この研究チームでは動物での効果の確認などを行い、より詳細な機能と効果の解明を進めて行くそうです。