ブルーベリー最新市場情報:中国
作付面積・収穫量は10年で1,000倍に激増
中国は2000年頃よりカルチベイトブルーベリーの本格的な商業生産を開始し、2001年には24ヘクタールだった作付面積は2015年には3万ヘクタールを超え、生産量も4万3千トンを超えると見積もられています(中国では公式な生産統計が集計されていません)。2018年には4万5千ヘクタール・7万トンに近づくと予想されています。
これはアメリカ(24万トン)、カナダ(11万トン)に続く世界第3位の生産量となります。
主な生産地域
北東部:吉林省や遼寧省で土壌が酸性で、寒冷な気候を利用したブルーベリー栽培が行われています。消費地から遠いこともあり、大部分がジュース、ジャムなどの加工向けです。ノーザンハイブッシュの栽培が行われています。
山東省:冷涼な気候でブルーベリーの栽培に適しているが、土壌が中性のため土壌改良が必要です。2014年には作付面積が6,000ヘクタール、生産量が15,000トンを超え、中国最大のブルーベリー生産地域で、主にノーザンハイブッシュの栽培が行われています。
長江エリア:浙江省、江蘇省など長江(揚子江)流域の南岸地域で、温暖な気候のためサザンハイブッシュ、ラビットアイの栽培が行われています。
雲南省:雲南省は標高が高く、ほぼ全てのタイプのブルーベリーの栽培が可能とされており、土壌が酸性でブルーベリーの栽培には適しており、近年作付けが増えている地域です。
ブルーベリー販売市場としての中国
経済の伸張と生活レベルの向上に伴い、中間所得者層が増え、健康や機能性を求めるようになりました。2016年には年間需要が6万トンに伸びると予測されています。
わかりやすい健康効果
日本でブルーベリーが受入れられたのと同じように、「眼に良い」というわかりやすい効果、他にはない訴求と目新しさが中国でも受入れられていると考えられます。
今後の伸びる余地が
一人当たりのブルーベリー消費量をその他の国と比較すると、中国でのブルーベリー消費量は今後さらに伸びる余地を秘めていると言えます。
加工製品の登場
これまではほぼフレッシュ市場のみだった中国でも、タルト、ソース、お菓子など様々な加工品が流通するようになってきました。西洋風だけでなく、伝統的な中国のお菓子(例えば湯円と呼ばれる餡入の団子)などでブルーベリーフィリングなどを使用するなど、
ドライブルーベリーの中国への輸出も近年増加傾向にあります。ドライブルーベリーやクランベリー、チェリーなどの輸入量の増加に伴い、中国のレーズン輸入量が近年減少傾向にあります(USDA Grobal Agricultural Information Network資料)。価格では無く、健康・機能などの付加価値がようやく受入れられるようになってきたと考えられます。
中国市場の課題
安全性への懸念
2015年2月に中国からオーストラリアへ輸出された冷凍ベリーで20人近くがA型肝炎ウィルスの感染を引き起こし問題となりました。2012-2013年にもアメリカやヨーロッパで北アフリカ、イタリアやカナダなどを原産とする冷凍ベリーによるA型肝炎の集団感染が発生したことを受けて東京都が都内に流通する冷凍ベリーの抜き取り調査を実施し、汚染されたベリー類が無いことを確認するなど、大きな話題となりました。
A型肝炎とは:A型肝炎はA型肝炎ウイルスによる一過性の感染症で、糞便から排泄されたウイルスが人の手を介して、水や氷、野菜や果物、魚介類を経て口に入ることで感染します。発熱、全身倦怠感などに続いて、嘔吐などの消化器症状、さらに肝機能低下による黄疸を呈します。乳幼児では症状が軽いことが多いのですが、高齢者では重症化することがあります。潜伏期間が2~7週間と長く、感染経路が特定しにくいのが特徴です。特効薬は無く、対症療法で回復を待つことになります。A型肝炎ウィルスは85℃1分間以上の加熱や200ppm以上の塩素処理などにより不活化されます。
オレゴンチェリーグロワーズのドライブルーベリーは糖漬けおよび乾燥工程などでA型肝炎ウィルスを不活化するのに充分な熱を加えています。また作業に従事する従業員の衛生教育や健康管理、使用する原料や水などGMP/HACCP/SOPに基づき、定められた衛生条件を満たしております。
輸入量も増えている
そのような安全性への懸念が中国国内にもあり、チリ、カナダ・ブリティッシュコロンビアなどからの生鮮・冷凍ブルーベリーの輸入も増えています。FTAを締結したチリからは昨年度5,000トンを超える量が出荷されたと見積もられています。
オレゴンチェリーグロワーズは中国へのドライブルーベリー・その他ドライフルーツの輸出・出荷のサポートおよび展示会などマーケティングのサポートも行っております。詳細はお問い合わせ下さい。